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名前でサーバを振り分けるのは危険?

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突然の情シス

ある日の昼下がり,オフィスに戻ると見慣れないフルタワーPCが4台。どうやらボスが調達してきたようです。「中野君,ちょっと」ボスに呼ばれました。

「先日,営業の落合さんが帰宅中にノートPC紛失したの知っているよね。幸い,重要なデータは入っていなかったようだけど,何かあってからじゃ遅いでしょ。そこで,うちでもファイルサーバを立ち上げることにした。重要なデータはサーバに保存する方針に決めたけど,今忙しい?」

嫌な予感がします。事実上ひとり情シスだった高田先輩は,過労で体調を壊し退職したばかりです。その前任者の馬場さんも,表向きは家業を継ぐため退職したことになっていますが,実際は逃げるように会社を去っていったようです。

「君,ブログやっているんだって?なかなかの評判じゃないか。ブログできるなら,PC得意だよね。サーバの管理頼むよ」

さぁ,大変です。どうしましょう。中野君は困りました。ブログをやっているからといって,コンピュータに精通しているわけではありません。しかも,中野君が勤める会社には,相談に乗ってくれそうなコンピュータやネットワークに詳しい同僚はいません。中野君はファイルサーバを,従業員の名前順で均等になるよう割り振って運用しようと考えたのですが…

この話はフィクションですが,ある日突然,ブログをやっているという理由だけで情シスを任せられたら怖いですよね。

名前で振り分けるのは可能?

某所のメール送信ログを見ていたら,あることに気がつきました。「H」「K」「T」「Y」からはじまる名前が多く感じます。次いで「A」「J」「M」「N」「S」からはじまる名前。正確な統計を取ったわけではありませんが,これら9つの頭文字だけで全ユーザの7割くらい占めています。さっと思い付くだけでも,「ヒロシ」くん,「ヒロミ」さん,「ケンイチ」くん,「タクヤ」くん,「ツカサ」さん,「ユウキ」くん,「ヨシヒコ」くん,確かに身の回りにいらっしゃいますね。

「だからどうした」と言われればそれまですが,アルファベット順にサーバを割り振ると,想定外の偏りが発生する可能性があります。例えば,従業員数1,000人の企業で,データは各自のPCに保存しないでサーバに保管しましょうといった要求が高まったため,ファイルサーバ1号機〜4号機を新規に設置することになりました。名前の頭文字が「A」〜「G」を1号機,「H」〜「N」を2号機,「O」〜「T」を3号機,「U」〜「Z」を4号機に割り振るとします。「H」「K」「T」「Y」のユーザが各100名,「A」「J」「M」「N」「S」が各50名,それ以外が各20名前後在籍していた場合,新設するサーバのユーザ数は以下のようになります。

サーバ名利用者ユーザ数
ファイルサーバ1号機頭文字「A」〜「G」174
ファイルサーバ2号機頭文字「H」〜「N」391
ファイルサーバ3号機頭文字「O」〜「T」232
ファイルサーバ4号機頭文字「U」〜「Z」203

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割り振り方法を考える

総務や人事から見ると,名前順(アルファベット順)で割り振った方が管理しやすいかもしれません。しかし,このプロジェクトを任せられた担当者(以下,情シス担当者)からの視点では,サーバ毎に利用者数に偏りが発生することは好ましいことではありません。そこで,効率良くユーザを割り振りる方法を考えてみましょう。

ケース①:所属部門で割り振る

部門毎のディスク使用量に応じて経費の振り替えを行う場合は管理しやすい方法です。しかし,こちらも利用ユーザを均等に割り振ることは難しいと考えます。人事異動(メンバーの増減員や,部門の統廃合など)が発生する度に,サーバ毎の利用者数のバランスは崩れます。また,一部の利用者はサーバの引っ越しを強いられるでしょう。情シス担当者が行う移行作業も大変かと思いますが,利用者側から見てもサーバ名やIPアドレスの変更設定は面倒な作業です。

ケース②:入社年で割り振る

入社年でしたら,所属部門と異なり入社してから退社するまで変わることはありません。いくつか方法はあるかと思いますが,ここでは入社年(西暦)を4で割った剰余を求めます。剰余が0の場合はファイルサーバ1号機。以下,1の場合は2号機,2の場合は3号機,3の場合は4号機を割り振ります。ファイルサーバの運用スタート時はユーザを均等に割り振ることができそうです。しかし,入退社が繰り返されるうちに偏りが発生することが見込まれます。また,大量に新入社員を迎える時期は,特定のサーバだけ利用者が多くなるでしょう。もしかしたら,採用を控える年もあるかもしれません。上手くいきそうだっただけに惜しいです。

ケース③:社員番号で割り振る

社員番号も入社してから退社するまで,原則として変わることは無いでしょう。入社年によって採用人数にばらつきあったとしても,社員番号なら影響は少なそうです。次に,サーバを割り振る方法を考えてみます。

奇数か偶数かで振り分け

社員番号の下2桁を取得します。10の桁が奇数,1の桁が奇数の場合はファイルサーバ1号機。以下,奇数と偶数は2号機,偶数と奇数は3号機,偶数と偶数は4号機を割り振るとします。利用部門に説明する際も,「奇数」や「偶数」など聞きなれた言葉であれば,理解してもらいやすいかもしれません。

しかし,この方法ではサーバの増減への対応ができません。サーバの高性能化によりサーバを集約(サーバの台数を削減することで,ライセンス料や電気代の削減が期待)することも考えられます。逆に,従業員が増加すればサーバを新設することもあるでしょう。サーバが増減した場合,割り振り方法を考え直す必要があります。

剰余で振り分け

サーバの増減を考慮すると,サーバの台数で割った剰余で割り振る方法が最善策と考えます。社員番号を4で割った剰余を求め,0の場合はファイルサーバ1号機。以下,1の場合は2号機,2の場合は3号機,3の場合は4号機を割り振ります。サーバの台数が4台から6台に増えた場合は6で割った剰余,3台に減った場合は3で割った剰余をもとにサーバを割り振ることをルールとして決めておけば,サーバが増減した場合でも方針を変更する必要はありません。


振り分けは社員番号&剰余で

剰余と聞くと難しそうですが,剰余演算(ExcelならMod)で簡単に求めることができます。社員番号も不変とは言えませんが,そうそう変わることは無いと思います。ひとり情シスの皆様で,サーバを振り分けにお困りの方がいらっしゃいましたら,「社員番号÷サーバ台数」の剰余でサーバを振り分る案を参考になさってみてください。最後までお読みいただき,ありがとうございました。


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